【劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者・感想】圧巻の歴史的描写に織り交ぜるフィクション。ハガレンが誇る名作映画

これは凄い映画…

ハガレンは全体的にしっかりした作品で、僕が好きな漫画なんですが、アニメは「フルメタル」の方しか見てないです。あ、新しい方のアニメですね。原作通りの。

ただ、この映画を観ると、古い方のアニメも見たくなります。完成度が高い。たしかに原作とは違う設定も使われていたり、知らない登場人物が出ていたりするのですが、それでも完璧。グッド。

まさかナチスの設定や人種差別とか出てくるとは思わなかった。上手い感じで歴史描写を絡めていますね。これ相当難しかったんじゃないの?

物語の舞台はパラレルワールドです。パラレルワールドといっても、いわば戦前の現実世界、要はハガレンのように錬金術が出てこない世界が舞台になっています。おそらく国はドイツ。そして、本当なら居ないはずのエドが、現実世界のドイツにいるのです。

顛末は分かりませんが、弟を救うために自らがこの現実世界に飛び込んできたとのこと。そこで知り合ったアルと似ている人物と一緒に現実世界のドイツで生活しています。

現実世界なので、もちろん錬金術は使えません。そして義手の技術もないのですが…なんか似た感じの義手が現実世界でも作れちゃったらしい。

本来はもう二度と繋がらないはずの現実世界とハガレンの世界が、ある事件をキッカケに繋がりを見せていきます。エドも再び、錬金術師として現実世界と本来の世界を行き来することに。

物語の魅力は精密な歴史描写の他にも、キャラクターのドラマだったり、本来は敵だったキャラクターが現実世界では味方になったり、反対に味方で温厚な人物が敵になり、非情な選択をするなど、そんな対称的な部分が良いな〜と思いました。

また…上手く言えないのですが、感情を組み合わせて一つのドラマへと昇華していくのが素晴らしいですね。各々の抱えている、やり切れない辛い思いがヒシヒシ伝わります。


ラストは思ってもいない結末が待っています。まさか、こうなるとは思わなかった。少し良くて、切ない気持ち。ハッピーエンドでもあり、バットエンドでもあるような…中間?な感じがします。


見どころは沢山ありますが、一言で言えば重厚です。満足感があります。おそらくハガレン映画でも名作に数えられる作品です。いうて実写も含めて3作しかないんだけどね…

それだけに、あまり注目されていないのが少し残念。ハガレンが好きなら絶対に観るべき映画だと僕は思います。


あ、「嘆きの丘と聖なる星」はそんなにオススメじゃないです…

【鋼の錬金術師 嘆きの丘の聖なる星・感想】迫力ある演出と主題歌は素晴らしいが、色々と残念な点が多い… - 開戸劇場


P.S. 朧げだけど、この作品は小栗旬さんが初めて声優を演じた映画。作品を観ると、まだ声優としての拙さが伝わる。「天気の子」を観ると、もはや声優と遜色ない。そういう意味でも非常に観る価値がある映画だと思います。